Concert Diary


【日本】コンサート・ツアー2010 - 後編

(2010年10月24日~12月24日)

前編に続き、秋から冬にかけてのコンサートツアーの後編ですが、引き続きナオが書きます。

後編は、"レ・クロッシュ"のコンサートとハーピストの堀米綾さん、ピアニストの仲田みずほさん、そしてピアニストの菊地裕介さんとの共演も加わり、楽しいコンサートとなりました。
多くの方たちにお越し頂き、嬉しく思います。

まず、この後編のはじめにお話しなければならない事は、マキが2010年8月にピアノソロのアルバムをリリースした事です。

僕が春の公演の準備をはじめている間に、マキは、「ナオと共演が出来ないけれど、ピアノソロのアルバムを出したい!2010年がシューマン生誕200年記念の年なので、"子供の情景""アベッグ変奏曲""謝肉祭"の3曲を収録したいの!」という事で、妊娠8ヶ月の時にレコーディングをして、夏にCD「シューマンの宝石箱」を発売しました。

周囲の人たちはレコーディングのために大ホールを予約しても、妊娠中は収録当日に体調が悪くなってしまったら、レコード会社に申し訳ないし、無理をしない方がいいのでは・・・という意見が多かった中、とても素晴らしいアルバムを制作する事が出来ました。
マキの行動力に感心します。

マキのアルバム「シューマンの宝石箱」は、"日経新聞"、"レコード芸術"、"CDジャーナル"、"音楽現代"、"PIANO"などの音楽雑誌や音楽情報誌"ぶらあぼ"などにも推薦盤として多くの記事が掲載され、音楽評論家に絶賛されました。
僕もとても良い出来だと思います。

マキの復帰初仕事は、10月24日でした。
「宇宿真紀子"シューマンの宝石箱"リリース記念 ミニリサイタル」です。
ヤマハミュージック東京 池袋店で行われました。
僕もゲスト出演させてもらい、数曲演奏しましたが、演奏している間にどんどん人が増えていって、立ち見の人たちでいっぱいになりました。
恒例の演奏後のサイン会では、昨年の"アヴェ・マリア"のCDミニコンサートの折にもいらして下さった方から話しかけられて、CDにサインしている時に、昨年弾いた曲もちゃんと覚えていて下さり、「昨年も今年も感激しました!」と声を掛けて下さったので 嬉しかったです。

そして、11月10日は、銀座十字屋でのランチタイムコンサートです。
銀座十字屋さんは、ハープ専門店ですので、ハーピストの堀米綾さんとの共演しました。
"愛のあいさつ"、"白鳥"、"タイスの瞑想曲"など、名曲を数曲演奏しました。
驚いたのは、コンサート開始1時間半前にもう席を確保するためにいらして、リハーサルを全部聴いていらっしゃる方もいて戸惑ってしまいました。
何度も合わせて準備した甲斐があって、2人で気持ちよく演奏出来ました。
ハープと合わせた経験がなかったですが、夏から3度たっぷりの練習時間を作ってもらえたので、本番は呼吸が揃って満足でした。

そして、このコンサートにいらした方から帰宅と同時にお電話を頂き、「チェロの音色に魅せられました。是非コンサートをして下さい。」とご連絡下さいました。
そのあと、杉並公会堂小ホールでの12月2日の「クリスマス コンサート in すぎなみ 2010」にもお越し下さいました。
結局、暮れにマネージャーがホールで話し合いをして、2011年4月29日の"みどりの日"に決定しましたが、とても洒落たアットホームなホールということです。
お客様には、チェロの場合は、はだしになってもらい、チェロの音色を味わってもらうそうですが、どんな響きのホールなのか今から楽しみです。

11月19日には、「及川音楽事務所主催 オータムガラコンサート」に出演しました。
マキとのデュオでパガニーニ「ロッシーニの主題による変奏曲」やマキのピアノソロシューマン「子供の情景」などを演奏しました。

いよいよ次は、「クリスマス フェスティバル in すぎなみ 2010」です。
12月1日は、ハーピストの堀米綾さんとの共演、ピアニストの仲田みずほさんとの共演、12月2日は、レ・クロッシュ ソロ & デュオリサイタル、12月3日は、ピアニストの菊地裕介さんとの共演です。

12月1日のハープとシューベルト「アヴェ・マリア」やサン・サーンス「白鳥」などは、ピアノ伴奏とはまた違った響きなので、杉並公会堂で共演出来る事をとても楽しみにしていました。
綾さんも僕も10月のランチタイムコンサートよりもずっと乗りがよく、とても気持ちよく弾けたので満足のいく演奏が出来ました。

もう1人の共演者であるピアニスト 仲田みずほさんは、スイスから帰国してからの練習であまり時間的余裕がありませんでしたが、それでも合わすたびに演奏の呼吸が合ってきて、本番が一番よかったと思います。

マキも12月1日には、ピアニストの宮谷理香さんとショパン「4手のための変奏曲」を演奏しました。
宮谷さんはやはりベテランでいらっしゃるので、ショパンの演奏はもちろんですが、トークも上手でいらして、さすがだと思いました。

12月2日は、マキとの共演!
クリスマスを意識して、グノー"アヴェ・マリア"、シューマン"子供の情景"ドビュッシー"雪は踊っている"、ラフマニノフ"ヴォカリーズ"バッハ"G線上のアリア"、最後はパガニーニ"「ロッシーニ」の主題による変奏曲"を演奏しました。
パガニーニは難曲の作曲家ですので、中々技術的に手ごわい曲ですが、とても満足のいく演奏ができたと思います。
マキのソロは、やはり今まで通り、澄み切った音色で素敵な演奏でした。

12月3日は、ピアニストの菊地裕介さんとの共演で、ショパン"チェロとピアノのための華麗なるポロネーズ"を演奏しました。
菊地さんは、音大でのお仕事もあるので、合わせ時間は短かったのが残念でしたが、それでもよく弾いて下さって感謝です。
菊地さんとの演奏を聴いたファンの方が、「共演」ではなく「競演」でしたね、というメールも入りました・・・
ただ思った事はそれぞれが弾けていても、やはりアンサンブルとして本番に立つ場合はお互い時間を掛けてじっくり練り上げて、相手と通じ合っていなければお客様に満足して頂く事は出来ないな~と実感しました。
マキは、12月3日は、ソプラノの森裕美子さんのピアノ伴奏で出演しました。 声楽家との伴奏は、チェロとは違いフェルマータの長さや揺れ動く箇所など結構独特な難しさがありますが、マキの家で何度も練習したせいで、森さんはとても歌いやすかった、と言って喜んで下さったそうです。
クリスマス フェスティバルの3日間で色々なぺアーと組んで本当に勉強になりました。

この3日間、スタッフの方たちは本当に大変だったと思います。
どんなに疲れていても嫌な顔一つしないで、出演するアーティストたちのために一生懸命して下さいまして感謝しています。

これでゆっくりしたいところでしたが、翌日の12月4日は、相模大野市の「こもれびの森 大野台公民館」での"白鳥 チェロリサイタル"が昼の部と夜の部と1時間半公演が2回という事で、かなり厳しかったですが、思ったよりは疲れも出さずに出来ました。
昼の部は、公演よりもかなり前にチケットが完売という事で、2回公演共に満席となり、何かとてもよい気分で演奏させて頂きました。
公演後のサイン会には、長蛇の列!
パリのジュンク堂に残っていたファーストアルバム「夢のあとに」を母が持ちかえった15枚もあっという間に完売となり、これで「夢のあとに」は、日本にもフランスにも在庫がなくなりました。
「アヴェ・マリア」も「シューマンの宝石箱」も売れて、50枚以上もサインしましたが、3時間以上の演奏とサイン会で疲れているはずなのですが、お客様の熱い思いが伝わってきて疲れが飛んでいってしまいました。

12月11日は、去年に続き、府中のS病院での「クリスマスコンサート」でした。
大勢の方たちがお越し下さり、お客様の入りは今までで最高だったそうです。
最後に「きよしこの夜」を歌って、みなの明るい笑顔が印象的でした。

そして、12月18日の、調布市文化振興財団主催の「クリスマスコンサート」は、調布市にあります、白百合女子大学クララホールでさせて頂きました。
新しいグランドピアノがコンサート直前に入りましたので、少しまだピアノのキ―が重かったそうですが、予定していた100 席の2,5倍ものお客様がいらして下さり、慌てて椅子を入れて、開演は10分遅れという連絡が入りました。
それほど大きなホールではありませんでしたので、立ち見も出て皆の拍手がとても温かかったので嬉しくなりました。
第1部では、白百合女子大学のマンドリンクラブの人たちによるクリスマスメドレーがあり、その後約1時間プログラムをレ・クロッシュが演奏させて頂きました。
最後はレ・クロッシュの演奏に合わせて、お客様たちに「きよしこの夜」を歌って頂きました。
ご年配の方たちも大声で歌って下さったのでよかったです。
主催者のTさんも皆の迫力ある歌声には驚きと喜びだったそうです。

ホールのある11号館の前には、大きなクリスマスツリーが綺麗に輝いていましたし、終演後は、大学生たち手作りのキャンドルが150個並び、風が吹いてしまって担当者は火を点けるのが大変だったと思いますが、素敵なひと時でした。

翌日の12月19日は、千葉県松戸市の「松戸森のホール21」でのM先生の発表会のゲスト出演でした。
レ・クロッシュのゲスト出演の前に、生徒さんとのチェロとピアノのデュオ、そしてヴァイオリンとのピアノトリオが4組ずつありました。
12月11日に府中での本番のあとに、このホールでリハーサルをしましたので、当日は、ヴピアノトリオだけリハーサルをしました。
午後1時開演でしたので、正午からのリハーサル時間に十分間に合いました。
11日は夕方だったせいで、リハーサル予定時間を30分以上車の渋滞による遅刻でしたので発表会当日は早めに出ました。
生徒さんたちは、一生懸命演奏してくれました。
子供が頑張っている姿って本当にかわいいですね。
ゲスト出演でレ・クロッシュの演奏をさせて頂いた後は、大きな花束を頂きました。
アンサンブルの難しさや合わせ方などを勉強してくれたので、これから益々上手になってくれると信じています。

いよいよ12月22日と24日のクリスマスコンサートで今年のリサイタルは終わりです。

12月22日は、本郷のTクリニックでのクリスマスコンサート!
T院長先生は大学時代からコーラス部に所属していらしたので、コーラス部の方たちと大学の管弦楽団のOBたちがお客さんでした。
最後の「きよしこの夜」の歌声もさすが音楽好きな方たちばかりでしたので、綺麗に響きある歌声でコンサート終了です。
コンサートのあと、その方たちと一緒にクリスマスパーティに参加しました。
質問に答えたり、フランスの話をしたりして楽しい夜を過ごしました。
帰宅は0時を回っていました。

12月24日は、新宿コズミックセンター プラネタリウムでのクリスマスコンサートでした。 公益財団法人 新宿未来創造財団主催コンサートで、"イブの夜 プラネタリウムは愛を奏でる"~チェロとピアノが歌うクリスマスコンサート~、という事で星空のもとで名曲を中心に演奏しました。
暗い中での演奏でしたが、昨年の「星空コンサート」よりも豆電球がピアノの上やチェロの譜面台のところに小さい照明があたっていたので、少しましでした。
サイン会では、「最高でした!と何人もの人がレ・クロッシュに感激して声を掛けて下さっていたので、「今年も成功してよかった!!!」と心から喜びました。

姪の彩音をどこに行く時も連れて行かなければなりませんので、家族も大変でしたが、それでも病気一つしないで元気だったので、無事終了することが出来ました。

こういう経験も中々ないと思いますが、コンサート開始頃は、「自分だけの精神統一だけでも大変なのに、隣に彩音がいて大丈夫なのかな~」とちょっと心配しましたが、何とかそういう環境の中でも自分らしい演奏はできたと思います。

本当にこの1年、支えて下さった皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。
来年も益々充実したコンサートにしたいと考えていますので、末長く応援をよろしくお願い致します。
マキからもみなさんによろしくとの事です!