Diary


【ロシア】サンクト・ペテルブルグ②

(2004年3月27日)

日露友好フェスティバル「日本の春」 オープニングコンサート

私たちは、ロシア サンクト・ペテルブルグに、2004年3月26日~28日まで演奏旅行に行ってきました。5ヶ月振りで訪れましたが、前回の10月の紅葉とはうってかわって、寒々してまだ街の中はいたるところ雪でした。

出発する前日、マネージメントのエレナさんから「今日は0℃。雪が降っています。」とのメールを頂き、覚悟して行きましたが、到着した時には寒さは厳しかったものの、雪はすっかり止んでいたので、空港からホテルまでスムーズに行く事ができました。いつもチェロの入国が特に大変で、時間が掛かってしまいます。これはロシアだけの事だと思いますが、楽器の色、形、制作年代など、全てチェックしますが、これには訳があり、出国時に同一楽器かどうかの確認が行われるからです。結局、プールコヴォ空港を出ることができたのは、飛行機到着から何と2時間も経っていました!今回に限って、直彰は税関でパスポート提示の折、4年前に作成したパスポートの写真と本人の顔が違うという事で、取調べまで受けてしまいましたので、余計時間が掛かりました。
車窓から見える街並みに、季節が違えば顔も違いますが、とても懐かしく思いました。

前回はオーケストラとの合わせの日数が必要でしたが、今回は私たちのジョイント・リサイタルでしたので、演奏会前日のロシア入りでした。ロシアのピアノは良質のものが少ないと聞きますが、シェレメテフ・パレスには立派なスタインウェイがあり、真紀子もホッとしました。ピアニストはいつもそのピアノの悩みがあります。自分の楽器を持ち歩く事ができないので・・・。しかし、いつもはホールでの演奏ですので、自分たちとお客様には距離がありますが、今回は特別なセレモニーの後のオープニングコンサートという事で、いつもと違う緊張がありました。
どのようなセレモニーかと申しますと、サンクト・ペテルブルグに於いて日露友好フェスティバル「日本の春」の式典で、サンクト・ペテルブルグ市の楽器博物館に日本領事が古楽器を寄贈するというものでした。そのセレモニーの後、日本領事から私たち2人の紹介を頂き、演奏会を開始しました。皆様の前に出て行くと、直彰のチェロの目線のところに日本領事館の方々、日本からの来賓、サンクト・ペテルブルグ市長をはじめ、市の関係者の方々が勢揃いでしたので、かなり緊張するものでした。しかし、聴衆たちは私たちの音楽を心から楽しんで聴いて下さっているので、徐々に気持ちは解れてきました。このシェレメテフ・パレスは沢山のシャンデリアに包まれ、全く見事な宮殿でした。気持ちよくアンコールに答え、控え室に戻ると、マネージャーをはじめ、皆様から温かいお言葉やキスを頂き、「これで終わった!」という実感が沸いてきました。

格調高い宮殿での演奏は、近代的なホールとは違う趣きがあり、18世紀、19世紀にロシアで行われていた演奏会がどんな形式であったのか、想像する事ができ、誠に感無量でした。

夜は、懐かしいメイン通りのネフスキー大通りをずっと散歩しました。寒いはずなのに、興奮から覚めない私たちにとっては、ロシアらしい気持ちの良い寒さにホッと一息つきました。

ロシアの音楽環境を大変気に入って、昨秋に演奏した折に「また演奏したい」との思いでパリ℃に戻りましたが、まさかこんなに早い時期にこのような素敵なチャンスを頂けるとは思いもよりませんでした。

またパリに戻り、色々反省面を2人で話し合いながら日本に向けて前進して行きたいと思います。

演奏会翌日、エヴァ河まで散歩しました。朝から雪が降り、時折吹雪いて驚く場面もございましたが、この静かにただずむ古都を散策して、動乱、革命、戦争という悲惨な歴史を秘めているサンクト・ペテルブルグの街、街全体が静まりかえった冬なればこそ、ロシアの歴史とそれぞれの時代の栄光と名誉を保つこの街に、底知れぬ魅力を感じました。
夏は観光客も多く、街の趣きがガラッと変わるのでしょうが、今回 "サンクト・ペテルブルグの街らしさ" を味わう事ができて、本当に良かったと思います。

また、是非足を運びたい街の一つになりました。 下記に冬のサンクト・ペテルブルグの風景やシェレメテフ宮殿での写真を載せましたので、是非ご覧下さい。